海外赴任からの帰国直後、狭い日本の賃貸で鍛え直す器具選び

海外赴任からの帰国直後、狭い日本の賃貸で鍛え直す器具選び|引っ越し・収納しやすい器具のイメージ画像 引っ越し・収納しやすい器具

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帰国して荷物が届いた日、真っ先に注文したのがパワーラックとオリンピックバーベルセットだった、という会社員の話を編集部でも聞いたことがあります。海外の広い一戸建てやベースメント(地下室)で当たり前のように使っていた大型器具を、そのまま日本の賃貸に持ち込もうとして、玄関に入らない・部屋に置けない・そもそも搬入経路がない、という現実に直面するケースです。

これは決して特殊な話ではありません。数年間、広いスペースと大型ジム器具に慣れた身体は、部屋の「寸法」というものを忘れてしまいがちです。この記事では、帰国直後に起きやすい器具選びの失敗と、そこから立て直すための現実的な選択肢を整理していきます。

海外の「広さ」に慣れた体が忘れていること

海外赴任先の住宅事情は国や地域によって差がありますが、日本の都市部の賃貸と比べて居住スペースにゆとりがある物件が多いのは事実です。ガレージや地下室に器具を並べて、動線を気にせずセットを組めていた人にとって、日本の1LDKや6畳のワンルームは相当なダウンサイジングになります。

ここで見落とされがちなのが、「広さ」だけでなく「階層」の違いです。海外のベースメントジムは基本的に地面に直接接している構造が多く、振動や騒音が下の階に伝わる心配がほとんどありません。一方、日本の賃貸は上下左右に人が住んでいるのが前提の構造です。つまり帰国後に本当に向き合うべき壁は、器具の重さそのものではなく、「振動と音がどこまで許容されるか」という、これまで意識したことのなかった制約なんですよね。

この振動・防音の話は別記事でかなり詳しく扱っているので、ここでは深く触れません。気になる方は転勤の多い会社員が困らない筋トレ器具の運び方も参考にしてみてください。

海外から持ち帰った器具、そのまま使える?

電動系の器具(電動トレッドミルなど)を持ち帰った場合は、電圧・プラグ形状が日本と異なることが多く、変換なしでは使えない可能性があります。使用前に対応電圧を必ず確認しましょう。

またダンベルやバーベルプレートを海外で購入していた場合、表記がlb(ポンド)になっていることが多く、日本の一般的なkg表記と混在すると重量管理が地味にストレスになります。「20lbって何kg?」と毎回スマホで計算するのは、思っている以上に地味な負担です。このあたりの単位換算の考え方は別記事に譲りますが、感覚が完全に切り替わるまでは、いっそ新しい環境に合わせてkg表記の器具に統一してしまうのも一つの手です。

帰国後に見直すべき、3つの優先順位

広いスペース前提の器具構成を、狭い賃貸向けに組み直すなら、優先すべきは次の3点です。

  • 折りたたみトレーニングベンチ:フラット・インクラインの角度調整ができ、使わないときは立てて収納できるタイプ
  • 可変式ダンベル:プレート交換式で、片側2.5kg〜20kg程度まで幅広く調整できるもの
  • レジスタンスバンド:強度別に色分けされたセットで、丸めれば手のひらサイズに収まるもの

この3つで、実は上半身・下半身のかなりの範囲をカバーできます。ベンチとダンベルの組み合わせだけで、プレス・ロー・スクワット系のバリエーションが一通り試せますし、バンドは可動域を活かした種目や、ダンベルだけでは負荷をかけにくい角度の補助として使えます。

「マシンじゃないと物足りない」は思い込みかもしれない

海外のジム施設やホームジムでマシン中心のトレーニングに慣れていた人ほど、「フリーウェイトやバンドだけじゃ効果が薄いのでは」と感じてしまうことがあります。ただ、これは必ずしも正しいとは言えません。

フリーウェイトとマシンを比較したメタ分析では、最大筋力や筋肥大といった指標において両者に明確な差はなく、筋力の向上はどのトレーニング様式で測定するかに応じて出方が変わる(特異性の原理)と報告されています。つまり「マシンでなければ伸びない」というより、どちらのやり方で継続するかの問題という側面が大きいわけです。

レジスタンスバンドについても、ダンベルやマシンと比較して同程度の筋力向上効果が得られたとするメタ分析が2019年に報告されており、体脂肪や筋力への効果においてもダンベル等と同程度だったとするレビューもあります。まだ研究の蓄積が十分とは言えず、「誰にでも同じ結果が出る」とまでは言い切れませんが、器具のサイズが小さいことと、効果が薄いことは必ずしも同じ意味ではない、という視点は持っておいて良さそうです。

詳しくはこちらの記事も参考にしてください:海外赴任前の数ヶ月だけ住むマンスリーマンションで揃える最小限筋トレ器具

大型バーベルセットは、基本的に見送ったほうがいい

編集部で話を聞いた中でも、「ベンチプレス用のバーとプレートを買ったが、賃貸ではほとんど実用性がなく失敗だった」という声がありました。バーベルセットは重量を上げること自体に特化した器具で、可動域や種目の幅を広げる用途には向きません。加えて、高重量を扱う前提の器具は床への負荷も大きく、賃貸で気軽に扱えるものではないんですよね。

どうしても高重量のフリーウェイトトレーニングを続けたい場合は、自宅ではなくジムとの役割分担を検討するのが現実的です。 自宅ではベンチとダンベルでできる種目に絞り、それ以外はジムで行う、という切り分け方をしている人も少なくありません。

なお、レジスタンストレーニング全体の傷害発生率を調べたレビューでは、種目や実施環境によって1000時間あたり0.21件から18.9件までかなりの幅があり、伝統的なストレングストレーニングは比較的安全な部類だったと報告されています。ただしこれは自宅の狭いスペースでの実施を保証するものではなく、あくまで一般的な傾向として捉えておくのが良さそうです。

まとめ

海外の広い住宅と大型器具に慣れた身体で日本の賃貸に戻ると、まず「置けない」「入らない」という物理的な壁にぶつかりやすくなります。ただそこで無理に元の環境を再現しようとするのではなく、折りたたみベンチ・可変式ダンベル・レジスタンスバンドという小さな構成でも、体を鍛える手段としては十分機能するという前提に切り替えることが、帰国後の生活を無理なく立て直す第一歩になりそうです。

よくある質問

Q. 海外で使っていたダンベルやバーベルは日本でも使えますか?

A. 器具自体は基本的に使えますが、lb表記のプレートはkg換算が必要になり、地下室前提の重量級バーベルセットは日本の賃貸の床構造には向かないことが多いです。持ち帰る前に、部屋の広さと床の耐荷重を確認しておくのがおすすめです。

Q. 海外のジムのようなマシン設備がないと、筋力は落ちてしまいますか?

A. マシンとフリーウェイトの比較研究では、最大筋力や筋肥大に明確な差はないとされています。器具の種類よりも、継続できる方法を選ぶほうが重要だと考えられます。

Q. 帰国直後で家具もまだ揃っていない時期、何から買うべきですか?

A. まずは可変式ダンベルとレジスタンスバンドのように、組み立てや設置スペースがほとんど不要なものから始め、部屋のレイアウトが固まってからベンチを追加する順番がおすすめです。

Q. 海外で買った電動系フィットネス機器は日本でそのまま使えますか?

A. 対応電圧やプラグ形状が異なる場合があるため、使用前に製品の仕様表示を必ず確認してください。変換プラグや変圧器が必要になるケースもあります。

Q. 大型器具を処分せず一時保管したい場合、どうすればいいですか?

A. 賃貸の限られた収納スペースでは難しい場合が多く、トランクルームの活用や、いずれ広い住居に引っ越す予定があるかどうかで判断するのも一つの方法です。

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