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「とりあえず家にあるもので始めてみよう」と思って、リビングの椅子に足を乗せて昇り降りしてみたら、座面がグラッと傾いて肝を冷やした――という経験、実はけっこう多いんじゃないかと思います。器具を何も持っていない完全初心者にとって、一番手っ取り早い「器具」は家にある椅子や台ですよね。でも、これって本当に安全なんでしょうか。
今回は、椅子や台を自重トレーニング(自分の体重だけを負荷にする運動のこと。詳しくは「自重トレーニング」って何?器具なしでも鍛えられる仕組みで解説しています)に使う前に、必ず確認しておきたい「高さ」と「安定性」の見分け方を、初心者向けにかなり噛み砕いて説明していきます。
そもそも椅子や台は「なんとなく大丈夫」で使ってはいけない
椅子やテーブル、玄関の段差などは、そもそも人が座ったり物を置いたりするために設計されたものです。人が上に乗って昇り降りしたり、体重を斜めにかけたりすることは想定されていません。
静止して座っているだけなら大した力はかかりませんが、動きながら体重をかけると、静止しているときよりも大きな力が一瞬だけ加わると言われています。脚がガタついている椅子や、キャスター付きの椅子でこれをやると、途中でバランスを崩して転倒したり、家具そのものが壊れたりするリスクがあります。
実際、筆者自身も自宅トレーニングを始めたばかりの頃は「使えそうな物」を色々試して、結局使わずに終わったものがいくつかありました。家具を運動に使うかどうかは、見た目の頑丈さだけで判断せず、次に紹介するポイントを一つずつ確認してから使うことをおすすめします。
安全な高さの見分け方
椅子や台を使った代表的な動きの一つがステップアップ(台に片足を乗せて登り、降りるを繰り返す運動のこと)です。この種目で一番失敗しやすいのが「高さが合っていない台を使うこと」です。
目安として、膝立ちの姿勢で自分の膝の高さを超える台は避けたほうが良いとされています。台が高すぎると、登る瞬間に膝が深く曲がりすぎて、体が前に流れたり、反動をつけて登ってしまったりしやすくなるからです。反動を使った着地・踏み込みは、賃貸の床への振動という別の問題も引き起こしやすいので、その点は賃貸マンションで筋トレしても大丈夫?防音対策完全ガイドも参考にしてみてください。
一般的なダイニングチェアの座面高さは40〜45cmほどのものが多いですが、これはあくまで「座るための高さ」であり、「昇り降りしても安全な高さ」ではないという点は分けて考える必要があります。
安定性を見分ける3つのチェックポイント
高さが問題なくても、家具自体が不安定なら本末転倒です。使う前に、以下の3点だけは必ず確認してください。
- 脚の形状:4本脚のうち、横方向に開いている「アウトリガー型」の脚は横の力に強めですが、まっすぐ垂直に伸びる脚は横方向の力に弱く、揺れやすい傾向があります
- 座面・天板の広さ:片足で着地したときに、足の裏が完全に収まる面積があるか
- ガタつきの有無:使う前に、手のひらで軽く前後・左右に押してみて、少しでもガタつきを感じたら使用をやめる
- キャスター付きの椅子・台は、動く前提で作られているため絶対に使わない
これらはあくまで一般的な確認の目安であり、家具の耐荷重や安全性そのものを保証するものではありません。家具のメーカーが公表している耐荷重表示がある場合はそちらを優先し、不安がある場合は使用を控えるのが無難です。
椅子や台でできる種目・避けたい種目
家具を使ってできる動きの代表例をいくつか紹介します。
- ステップアップ:安定した低めの台に片足を乗せて昇り降りする動き。下半身に負荷がかかります
- ディップス:椅子の座面の縁に両手をついて、腕を曲げ伸ばしする動き。二の腕や胸の下部に効くとされています
- ロウイング:体を斜めに傾けて、しっかり固定された頑丈な机やテーブルの縁を両手で引く動き。背中を使う動きです
実は、こうした「決まった時間に腕立て・ロウイング・スクワットを1セットだけ淡々と行う」という、習慣化を重視したシンプルな自重トレーニングを検証する研究プロトコルも存在します。いきなり何セットも追い込むより、まず1セットだけ毎日続けることを目標にする、というアプローチは初心者にも参考になる考え方だと思います。
一方で、ジャンプを伴う動きや、片手・片足だけで全体重を支えるような不安定な動きは、家具を使って行うのは避けたほうが良いでしょう。着地の衝撃や横方向のブレを家具が受け止められない可能性があるためです。
そろそろ専用器具に切り替えるタイミング
家にあるもので試してみて「これ、意外と続けられそう」と感じたら、専用の器具に切り替えるのも一つの選択肢です。専用器具は最初から「体重をかけて動く」ことを前提に設計されているので、家具にはない安心感があります。
ステップアップを本格的に続けたいなら、高さを2〜3段階(10cm・15cm・20cmなど)で調整できる、耐荷重100kg以上のステップ台を選ぶと、椅子より安定して使えます。商品ページを見るときは、「耐荷重」の欄と、天板が滑りにくい素材かどうかを必ず確認しましょう。
腕立て伏せを椅子の代わりに専用器具で行いたい場合は、グリップ部分が滑り止め加工されたプッシュアップバーを使うと、手首の角度が自然になり、フローリングに直接手をつくより負担が減ると言われています。
そして、椅子でも専用器具でも、床が滑りやすいフローリングの場合は、厚さ5mm以上のゴム製滑り止めマットを器具や自分の足元に敷くのがおすすめです。マットが台や体の動きを吸収してくれるので、家具の脚が滑って動くリスクも減らせます。
筆者自身、最初は身近にあるもので色々試していましたが、結局自宅の器具ではダンベルとベンチを揃えたことが一番よかったと感じています。理由は、それ一つで身体の色々な部位を鍛えられるようになったからです。家具での自重トレは「入口」として悪くありませんが、続けられそうだと感じたら、無理せず専用器具に移行するのも一つの手だと思います。
まとめ
家にある椅子や台での自重トレーニングは、器具を何も持っていない初心者にとって手軽な入口になります。ただし、家具は本来運動用に作られていないという前提を忘れず、高さは膝立ちの高さを超えないか、安定性は脚の形状・座面の広さ・ガタつきの3点を必ず確認してから使うようにしてください。続けられそうだと感じたら、専用の踏み台やプッシュアップバーへの切り替えも検討してみましょう。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください:『スロートレーニング』って何?器具なしでゆっくり効かせる方法
よくある質問
Q. 椅子ではなくソファでステップアップをしても大丈夫ですか?
A. ソファは座面が柔らかく沈み込むため、足を乗せたときにバランスを崩しやすく、ステップアップのような動きにはあまり向いていません。硬く、平らな天板を持つ台のほうが安定して使いやすいとされています。
Q. 椅子の耐荷重が分からない場合はどう確認すればいいですか?
A. 家具の商品タグや購入時のパッケージ、メーカーの公式サイトに「耐荷重」や「使用者体重制限」といった表記がある場合があります。表記が見つからない場合は、安全のため無理に運動用途で使わないほうが無難です。
Q. 木製の台と樹脂製の台、どちらが安定していますか?
A. 一概にどちらが優れているとは言えませんが、木製は重量があり動きにくい一方、経年劣化でネジが緩んでガタつきが出やすい場合があります。樹脂製は軽い分、滑りやすい素材のものもあるため、どちらを使う場合も使用前のガタつき確認は欠かせません。
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